朝のお約束

 今朝も何時ものように6時に起きた。

この時期は、早くから太陽が昇り、すでに辺りは明るくなっている。

「もう、起きる時間?!」

夫はモソモソと布団から顔を出した。

「うん、おはよう・・・」

妻はにっこりと笑って、挨拶をする。

「・・・おはよう・・・」

夫も寝ぼけた顔で挨拶を開いた。

 それから、二人で二階から一階にいって、朝ご飯を食べる。どこにでもある、夫婦の日常・・・

「それで、今日は帰りが遅くなるの?」

妻はモグモグとパンにかぶりつく。

「ああ、だから先に寝てていいから。」

「OK~」

 夫は、新聞を見ながらコーヒーを飲むのが日常である。

 共働きの二人は、結婚してまだ2年。お互いにお互いのことは、干渉し合わないのが,

夫婦間の決まり事となっていた。夫は証券会社で働き、妻は近所のスーパーでレジをやっている。

「そうだ、今度の日曜日、実家に行くんでしょ?なんか、買っておいた方がいいかな?」

「別にいいんじゃないか?そんなもの。」

「でも、こないだお姉さんたちが、お土産持ってきていたわよ・・・やっぱり今日、買ってきておくね。」

「別に俺の親なんだからいいって。」

「あなたは良くても、私は困るの。」

「はいはい。お好きにどうぞ。」

  妻は、食事を終えると、早々に食器を片付けた。夫も歯を磨き、ひげを剃る。そして、ワイシャツやスーツに袖を通して、仕事へ行くの支度を終えた。

 二人は、ちらっと時計に目をやった。そろそろ夫が仕事に行く頃だろう・・・

 夫は、玄関に向かって歩いて行った。妻も夫の後をついて行く。 

「じゃあ、悪いな。行ってくる」

 靴を履いて、夫が振り返った。妻は、いつものようにニコニコしている。夫は、少し、照れながら、

「はいはい、いつものやつね・・・」

 そう言って、妻に軽くキスをした。

「それじゃ、行ってくる。」

「行ってらっしゃい。気をつけてね。」

 妻は、機嫌良く夫を送り出した。

  二人には、一つだけ約束事があった。それは、毎朝出かけるときは、キスをすること。無事に帰ってきますように、今日がいい一日でありますようにと、お互いに思いあうためにそうきめたのだ。

 よその人が聞いたらきっと笑われるだどうが。この2年間、二人は欠かしたことがない。

 「さてと、私も洗濯物干さなくっちゃ・・・」

 妻は、一目散に洗濯機の中の物を取り出すと、二階へと上がっていった。

 二人は、仲のいい夫婦である。


 


はぜみ's ストーリーズ

こんにちわ、ハゼミです。 このHPは、私はゼミの書く、短編小説や、長編小説が載っているものです。 お暇なときやいつもの世界から離れたい時など、隠れ家的に来てくださると嬉しいです。

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